尼門跡寺院伝来作品のうちから、『源氏物語』享受史のなかに位置づけられる作品を選び、そこに描かれる女性像の変容の分析を通して、尼門跡寺院における物語享受の実態や、その女性像に時代や社会がいかに反映したかについて検討した。 本研究では、尼門跡寺院伝来作品の制作に関与した可能性が高い近世天皇家の尼門跡に対する文芸活動の実態解明を目指した。また、尼僧自身が制作者あるいは書写者となった作品を取り上げ、『源氏物語』享受と仏教信仰の観点から、それぞれ分析した。尼門跡寺院伝来作品を、制作者・書写者・享受者それぞれの視点から捉え直し、尼門跡寺院における文芸活動の実態解明に努めた。
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