研究課題/領域番号 |
16H07348
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研究機関 | 大阪商業大学 |
研究代表者 |
尾場 友和 大阪商業大学, 総合経営学部, 講師 (50781374)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 教育学 / 教育社会学 / 進路形成 |
研究実績の概要 |
本研究は、教育的課題を抱える非進学校高校生がどのように進路形成し学校から職業へ移行していくのかを明らかにすることにある。一般的に学校から職業への移行は、学校における選抜・配分、社会化、正当化といった学校の社会的機能をベースに社会との対話により紡がれていく。それゆえ、高校生の進路形成を検討するためには、生徒個々の内的世界に加え、教師や生徒を取り巻く地域の社会的文脈にも目を向ける必要がある。 平成28年度は、第1に、以前に行った工業科教師や生徒のインタビューデータとともに、管理職経験のある教師など複数の教師データを加えて再検討した。そこでの検討から、工業高校における社会化は、教育の市場化を背景とする教育改革によりカリキュラムトラックの維持が困難になりつつあることがわかった。以上の成果については、学外での研究会で報告した。第2に、商業高校卒業生に対しインタビュー調査を行い、高校時代の学習生活と職業とのレリヴァンスについて検討した。その結果、商業高校内部においても社会化の分化が生じており、多様な商業高校からの移行モデルの存在がわかった。第3に、非進学校が点在する地域の青年団を地域社会における移行についてインタビューを行った。その結果、青年団における高校生と大人とのかかわりは、地元に残って職業に就くロールモデルと接触できる場となっており、日頃の活動を通じて地元の文脈に沿った移行の方法が流通していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた高校生の量的調査については、本プロジェクトを進めていくなか、調査対象者を絞った質的調査の方が探索的に検討できると考え、対象を工業高校と商業高校の教師や生徒に限定して調査を行った。また、人事担当者調査については、先行調査から学校との実績関係による就職が必ずしも一般的ではなくなってきている状況を鑑み、地域社会における高校生の進路形成環境に着目し、青年団の調査を行った。これらの調査はすでに基本データの収集を終了し、次年度の成果発表に向けた見通しをつけることができた。その知見の一部は、海外における学会で報告できる見通しもついた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の調査・検討を続行するとともに、積極的な学会発表、論文化を予定している。第1に、工業高校における移行調査をさらに進め、その調査結果を海外の学会(台湾教育社会学会)で発表する。第2に、商業高校調査では協力者をさらに募集するとともに資料収集を行い、さまざまな調査結果を他の職業高校と比較することで、そこでの移行プロセスを整理し報告する。第3に、地元地域における移行調査についても継続して行い、調査結果を学外の研究会や学会発表で報告する。
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