研究課題/領域番号 |
16H07349
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研究機関 | 大阪薬科大学 |
研究代表者 |
内田 まやこ 大阪薬科大学, 薬学部, 講師(移行) (70784304)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | レナリドミド / 多発性骨髄腫 / 好中球減少 / リスク因子 / 好中球数 |
研究実績の概要 |
【目的】多発性骨髄腫(MM)は治療困難な疾患ではあるが、免疫調整薬などの新規薬剤の導入により、著しく予後が改善している。レナリドミド(LEN)の治療継続に影響を及ぼす有害事象の一つとして、好中球数減少が報告されおり、治療継続には、早期に好中球数減少に対する介入が必要である。そこで、神戸市立医療センター中央市民病院におけるLd療法での重篤な好中球数減少の発現について、リスク因子の解析を行った。 【方法】2011年5月から2016年9月までにLd療法が行われたMM患者89名を対象とし、Grade 3以上の好中球数減少の発現に及ぼすリスク因子を検討した。すべての診療情報は電子カルテより後方視的に収集し、好中球数減少の重篤度は、CTCAE v4.0を用いて評価した。Grade 3以上の好中球数減少のリスク因子解析には多変量ロジスティック回帰分析を用いた。 【結果】対象患者の年齢中央値70歳、国際病期分類I-II / III:61/28例、 LENおよびDEXの投与量中央値はそれぞれ15 mg、20 mgであった。LENの投与量は全例で腎機能に応じた量が投与された。Grade 3以上の好中球数減少が発現した患者は、42例(47.2%)であり、そのうち15例(16.9%)はGrade 4であった。多変量解析の結果、治療開始前の好中球数は有意なリスク因子であった。 【考察】治療開始前の好中球数が低値である患者は、重篤な好中球数減少の発現頻度が高いことが示唆された。安全かつ有効なLd療法を行うため、薬剤師は、腎機能に応じた投与量であるか、減量基準に合致していないかなど、薬剤が適正に使用されていることを確認する必要がある。また、治療前の好中球数が少ないハイリスク患者では、好中球の推移をより厳重にモニタリングすることで、より安全にLd療法を遂行可能になると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
測定予定のレナリドミドの血中濃度測定に関して、倫理委員会での承認が得られておらず、まだ測定実施に至っていないため、当初の予定よりやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
多発性骨髄腫は進行とともに腎機能低下を伴うため、腎排泄型薬剤であるレナリドミド(LEN) の使用には注意が必要なことから、LEN の血中濃度を測定しながら管理を行う。また、多発性骨髄腫は進行とともに骨髄抑制を認めるが、LEN は副作用として骨髄抑制を高頻度に発現するため、骨髄抑制の有害事象が重なり合う。そこで、LEN の副作用に影響を及ぼす血中濃度以外の因子として、併用薬との相互作用や、臨床検査値、食事などの要因を解明する。レナリドミドの血中濃度評価と効果と副作用、相互作用に影響を及ぼす因子の解明を目指して、倫理委員会での承認申請を迅速に行う。
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