研究課題
レナリドミド(以下、Ld)は、効果と副作用との関連性に着目したデータが国内外で非常に少ない。しかし、Ldは、患者数は少ないが致死的な経過をたどり得る多発性骨髄腫に対する中心的治療薬であり、腎障害、皮膚障害、末梢神経障害、骨髄抑制など様々な副作用が高率に発現する。また、多発性骨髄腫は進行とともに腎機能低下を伴うため、腎排泄型薬剤であるLdの使用に際しては細心の注意が必要である。そこで、Ld療法における重篤な好中球数減少の危険因子について検討した。その結果、治療開始前の好中球数が低値である患者は、重篤な好中球数減少の発現頻度が高いことを明らかにした。つまり、治療前の好中球数が低いハイリスク患者では好中球数をより慎重にモニタリングすべきであることが示唆された。腎機能が有意な危険因子として示されず、その理由としては、Ld療法では腎機能に応じてLdの投与量を調節することが考えられた。また、近年、がん治療の進歩は目覚ましく、支持療法薬としての制吐薬の開発も進んでいる。一方で、造血器腫瘍に対する化学療法は、抗がん薬を連日しかも大量投与するレジメンが多く、悪心・嘔吐への対策は急務であった。そこで、新規制吐薬パロノセトロン (以下、Palo)の効果と安全性について評価した。その結果、R-CHOP療法では、従来のグラニセトロン (以下、Gra)に比較し、遅発期、全期間におけるPaloの有意な制吐効果を明らかにした。また、ABVD療法では、GraとPalo投与間で制吐効果に有意な差を認めず、コルチコステロイド併用により、有意な制吐効果が得られることを明らかにした。一方、発熱性好中球減少症は、コルチコステロイド併用群において有意な影響を認めた。さらに、ベンダムスチンを2日間投与するレジメンでは、Graベースの制吐効力及び安全性が、Paloベースの制吐効果に比べて劣っていないことを明らかにした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
J Pharm Health Care Sci
巻: - ページ: -
10.1186/s40780-017-0097-4.
Pharmazie
巻: 「印刷中」 ページ: 304
Biol Pharm Bull.
巻: 40 ページ: 1499
10.1248/bpb.b17-00318.