研究課題/領域番号 |
16H07357
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
辰巳 公平 近畿大学, 医学部, 講師 (70555432)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 肝類洞閉塞症候群 / オキサリプラチン / PAI-1 / TF |
研究実績の概要 |
初年度(平成28年度)は、主に野生型マウスを用いて、オキサリプラチン誘発性肝類洞閉塞症候群(SO)Sにおける凝固・線溶系因子の動態を把握する実験を行った。既報に従い、オキサリプラチンの腹腔内投与後の2時間後に5-FUとフォリン酸を腹腔内投与する処置を週1回、合計5回行い、最終投与1週後にサンプリングを行うという予定であったが、想定以上の個体死亡を認めたため、3回投与での検討に実験方法を変更した。既報通り、本薬剤投与により肝臓での炎症・線維化は進行し、肝臓でのPAI-1発現は著明に増加することが確認できたが、TFの発現はむしろ低下する現象を認めた。また、薬剤投与回数依存性に体重減少と汎血球減少が生じることも確認した。これらの現象は5-FUとフォリン酸の投与のみでは生じず、一連の病態はオキサリプラチンにより惹起されたものであり、5-FUとフォリン酸は病態形成を増強する働きがあることを確認した。 この知見を元に、次はPAI-1KOマウスおよびLowTFマウスを用いた実験を行う予定である。PAI-1マウスを用いた実験はすでに開始しており、LowTFマウスについては米国からの譲渡・輸入を無事完了し、現在実験に使用すべく目下繁殖中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野生型マウスを用いた基礎的検討はおおむね終了したため、PAI-1-KOマウスを用いた実験を開始したところであり、次いでLowTFマウスを用いた検討、抗凝固薬を用いた治療に関する検討実験へと進んでゆく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
PAI-1-KOマウスおよびLowTFマウスを用いた検討を行い、オキサリプラチンによる肝類洞閉塞症候群の病態における凝固因子・線溶因子の関与を明らかにした上で、その機序に基づいた治療法の開発へと進む予定である。具体的には既知の抗凝固薬や抗線溶薬を用いた治療プロトコールの策定を目指す。
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