本研究の目的は、多様な組織間においてどのようなタイプの信頼が実践共同体の構築ならびに発展にとってドライバーとなり、その結果として社会イノベーションの普及へと繋がっているのか、そのメカニズムを明らかにすることである。 平成29年度は、主に下記2点に重点をおいて研究活動を行った。1点目は、平成28年度に実施したインタビュー調査および参与観察をより深めることで、データおよび分析の質を高めることである。インタビュー調査と参与観察に基づく質的分析は、国内外の学会で積極的に研究発表した。具体的に,平成29年6月はイノベーション研究で定評のあるIPDMCの社会イノベーションのセッションに参加し,7月にはEGOSの信頼のセッションに参加した。ここで研究者ネットワークを構築したことで、11月に日本で開催されたInternational Conference on Trustにて研究発表する機会を得た。国内の学会では、11月の組織学会年次大会ジュニアリサーチャーセッションで研究発表した。すべての学会で、研究および論文の質を高めるための貴重なコメント、アドバイスをいただくことができ、平成29年度の後半は学術論文の執筆に努めた。特に、世界の信頼研究コミュニティに参画できたことは、研究能力を高める上で大きな成果であるといえる。また、経営学だけではなく,社会学,心理学,政治学,経済学など複数のディスシプリンから学際的な観点で,研究をブラッシュアップする機会を得ることができた。2点目は、平成28年度に実施したインタビュー調査と参与観察の結果をもとに、アンケート調査票を作成し、パイロット調査を実施することである。アンケートのパイロット調査は,平成29年9月と12月の2回に分けて実施した。アンケート調査票の作成においては、学術および実践の有識者からアドバイスをいただくことで内容を改善させることができた。
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