複線径路等至性モデル(TEM)を用いて経験の径路を図示することにより中堅期の市町村保健師の職業的アイデンティティ(以下職業的ID)の形成プロセスと影響要因を明らかとすることを目的として、7名の保健師に半構成的面接を行った。分析は、職業的IDに関連すると考えられる語りに焦点を当て、経験や行動を時系列に配置し、社会的背景及び本人の意識や認識を反映させて描いたTEM図を比較検討した。その結果、中堅期の保健師の特徴として、出産等のライフイベントや後輩育成が職業的ID形成の促進要因となり、自身が認識している保健師業務とは異なる部署への配属が職業的ID形成の阻害要因として影響を与えていることが示唆された。
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