1992年頃から、日本の代表的なフリースクールである東京シューレなどが、フリースクール等に通う際の通学定期券利用を求めて署名活動を展開し、文部省の通達によって小中学生は1993年から(高校生は2009年から)通学定期券を利用できるようになった。「フリースクールへの通学定期券制度の準用過程」(『社会文化研究』20号)では、フリースクールと行政の交渉過程を詳述し、両者の関係性を考察した。 この活動はフリースクールと行政による交渉の始まりと位置づけられるもので、2016年に成立した「教育機会確保法」につながるものと評価できる。「フリースクールの制度化に関する考察」(『臨床教育学研究』23号)では、「教育機会確保法」についてNPO法人フリースクール全国ネットワーク代表理事である奥地圭子氏にインタビューし、同法の成立背景や批判的見解も含め検討した。 日本のフリースクール創設期に重要な役割を果たした「親の会」(不登校生の保護者の自助グループ)についての理解を深めるため、「学校に行かない子と親の会(大阪)」の世話人代表である山田潤氏の講演録を作成し、筆者の解題を付して刊行した。また、2016年度作成の資料集『「学校に行かない子と親の会(大阪)」の25年』と合せて、研究成果を2つの学会で報告した。 兵庫県立神出学園の小林剛学園長への筆者らによるインタビューが、「不登校50年証言プロジェクト」のサイトで公開された。小林学園長インタビューの紹介記事を『不登校新聞』477号に寄稿した。 日本のフリースクールに影響を与えた米国のフリースクール運動の現状を調査するため、AERO(Alternative Education Resource Organization)の年次大会(ニューヨーク・ロングアイランド大学、2017年8月)に参加し、報告を執筆した。
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