昨年度、調査対象者数が目標人数に達しなかったため、本年度も引き続き、口唇裂・口蓋裂がある子どもが就学時に直面する心理・社会的苦痛を明らかにすることを目的とし、学童期の口唇裂・口蓋裂をもつ子どもの母親を対象に、半構造化インタビュー調査を行った。この調査により、小学校低学年の口唇裂・口蓋裂児の否定的な体験として、母親が【容姿や行動の違いへの指摘に自分で対応できた】【容姿の違いへの指摘や病気の暴露に苦痛を感じていた】と認識していたこと、その体験に対して【疾患に関連したからかいは起こるものだ】【疾患に関連したからかいによる子どもの苦痛をわかってあげたい】【子どもが自分でからかいに対応できるようになって欲しい】【子どもに自分の疾患を前向きに捉えて欲しい】【教師はからかいに適切に対応して欲しい】と思っていることを明らかにした。また小学校低学年の口唇裂・口蓋裂児をもつ母親は児の就学時に【他の子どもからの容姿の違いへの指摘】【容姿の違いや指摘に対する子ども自身の葛藤】【外傷による創の離開】【伝わりにくい言語】に不安を感じていたことを明らかにできた。これらの研究成果については、第37回日本看護科学学会学術集会、第31回近畿・北陸地方会学術集会において学会発表を行い、武庫川女子大学看護学ジャーナル第3巻に論文を投稿し掲載された。また2018年5月に開催される第42回日本口蓋裂学会学術集会に演題登録し、採択され、発表予定である。 また、本年度は小学校勤務の教員の口唇裂・口蓋裂に関する病気や治療のイメージ、児の学校生活での困りごとに関する認識を明らかにすることを目的に、全国の小学校勤務の養護教諭と教諭を対象とした質問紙調査を行った。これらの研究成果は2018年7月に開催される第28回日本小児看護学会学術集会、2018年6月に開催される第65回日本小児保健協会学術集会に演題登録し、発表予定である。
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