研究課題
本研究は、ヒマラヤ造山帯に起きた初期の地殻溶融イベントとその役割を明らかにするために、東ネパールの高ヒマラヤ帯上部の片麻岩類の変成年代をジルコンとモナザイトのウラン―鉛年代を用いて推定した。また、地質温度計や相平衡計算を用いて、変成温度圧力条件を推定した。その結果、これらの片麻岩類は、3500-2500万年前に黒雲母の脱水溶融反応によって高温変成作用(約800℃、5.5 kbar)を被っており、その後1700万年前まで変成作用は続いたことがわかった。この片麻岩類の沈み込みと上昇は、高ヒマラヤ帯内部の漸新世初期の断層運動と密接に関連している(Imayama et al., 2018)。その後、中新世初期の断層運動により、高温変成岩ナップを南側にまで運んでいる。また、北西インドUttarakhand地域のBhagirathi川流域に沿って野外調査を実施した結果、高ヒマラヤ帯内部において複数のせん断帯と2段階の部分溶融イベントを発見した(Imayama et al., 2017)。これらは西ヒマラヤ地域で初めて発見されたヒマラヤ初期の断層運動と地殻溶融イベントの可能性が高い。その他、東ネパールのアルン地域の逆転温度構造を、石灰珪質片麻岩類と角閃岩類から制約し、それらの原岩が古原生代であること、中央ネパールの古原生代眼球片麻岩の起源が地殻溶融によって形成されたこと(Imayama et al., 2018 in submit)を明らかにした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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