戦前期における日本人文学者の植民地体験や海外渡航とそれに基づく文学的営為について調査を行うとともに、国内外で発行されていた日本語雑誌の調査と分析を進め、両者がどのように関連づけられるか考察を進めた。とくに、人脈や現地での文学運動との関わりから重要な展開を見せた短詩型文学の動向に着目し、詩・短歌・俳句・川柳を中心に、資料の調査と分析を行った。また、戦前・戦中の文学運動や表現実践が日本の戦後文学にどのような展開をもたらしたか考察した。これらの成果によって、日本の旧植民地をはじめとする海外の日本語文学の状況と日本近代文学の展開の結びつきについて歴史的に捉え直すことができた。
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