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2016 年度 実績報告書

混合効果モデルにおける変量効果の特定化と小地域推定への応用

研究課題

研究課題/領域番号 16H07406
研究機関統計数理研究所

研究代表者

菅澤 翔之助  統計数理研究所, リスク解析戦略研究センター, 特任研究員 (50782380)

研究期間 (年度) 2016-08-26 – 2018-03-31
キーワード小地域推定 / 経験ベイズ / 変量効果
研究実績の概要

本研究課題では, 変量効果モデルを用いた小地域推定法が抱える諸問題に対して, 数理統計の理論的側面から有用な解決策を新たに提案し, シミュレーション実験によって数値的な比較を行い, 現実のデータ解析での有用性を示すことを目的として実施した. 主な内容は以下の通りである.
(A) データが正値や比率値をとるケースに対してはリンク関数を用いたモデルが有用であり, 簡便性のため, これまでベイズ流のアプローチによる手法が利用されていた. しかし, ベイズ流のアプローチでは事前分布の設定に結果が左右される等の弱点がある. そこで, 経験ベイズ法に基づく頻度論的なアプローチについて考察し, 容易に実行可能な推定アルゴリズムを提案した.
(B) リンク関数を用いたモデルにおいて, 使用するリンク関数は使用者によって恣意的に決定される. しかし, データに対して不適切なリンク関数を使用してしまうと, 地域平均の推定精度が悪化してしまう. そこで, スプライン関数を用いたリンク関数のモデリングを導入し, モデルパラメータだけでなくリンク関数も同時推定することで, データに対して適合的に小地域モデルを当てはめる手法を提案した.
(C) 変量効果は地域間の異質性を表現するために利用されているが, 地域によっては変量効果を必要としないケースがある. そこで, 頻繁に用いられる自然指数型分布を用いた変量効果モデル(階層モデル)に焦点を当て, 地域ごとの変量効果の有無の不確実性もモデルに組み込んだ手法を提案した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究により, 小地域推定において指摘されてきたいくつかの問題点が解決された. (A)については論文としてまとめ国際査読誌に投稿中である. (B)については論文としてまとめ国際査読誌に投稿する準備を進めている. (C)については国際査読誌に掲載された.

今後の研究の推進方策

(A)で検討したリンク関数のモデルは有用であるが, 誤差分布や変量効果に対する分布の仮定が強いとの指摘がある. そこで分布の仮定を必要としないセミパラメトリックな手法について考察する.
(C)での研究過程で, 変量効果の真の分布とモデルで仮定している分布が異なっている場合, 従来の手法の推定精度が予想以上に悪化することがシミューレション実験により確認することができた. (C)では変量効果の分布を柔軟なものに置き換えるというアプローチを図ったが, 従来手法のロバスト化について考察する.

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] ジョージア大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ジョージア大学
  • [国際共同研究] オタワ大学(カナダ)

    • 国名
      カナダ
    • 外国機関名
      オタワ大学
  • [国際共同研究] 国立シンガポール大学(シンガポール)

    • 国名
      シンガポール
    • 外国機関名
      国立シンガポール大学
  • [雑誌論文] Bayesian estimators in uncertain nested error regression models2017

    • 著者名/発表者名
      Sugasawa, S. and Kubokawa, T.
    • 雑誌名

      Journal of Multivariate Analysis

      巻: 153 ページ: 52-63

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.jmva.2016.09.011

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Bayesian estimators for small area models shrinking both means and variances2017

    • 著者名/発表者名
      Sugasawa, S., Tamae, H. and Kubokawa, T.
    • 雑誌名

      Scandinavian Journal of Statistics

      巻: 44 ページ: 150-167

    • DOI

      https://doi.org/10.1111/sjos.12246

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Heteroscedastic nested error regression models with variance functions2017

    • 著者名/発表者名
      Sugasawa, S. and Kubokawa, T.
    • 雑誌名

      Statistica Sinica

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      https://doi.org/10.5705/ss.202015.0318

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Empirical uncertain Bayes methods in area-level models2017

    • 著者名/発表者名
      Sugasawa, S., Kubokawa, T. and Ogasawara, K.
    • 雑誌名

      Scandinavian Journal of Statistics

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      https://doi.org/10.1111/sjos.12271

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] An efficient and flexible test for rare variant effects2017

    • 著者名/発表者名
      Sugasawa, S., Noma, H., Otani, T., Nishino, J. and Matsui, S.
    • 雑誌名

      European Journal of Human Genetics

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      https://doi.org/10.1038/ejhg.2017.43

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Transforming response values in small area prediction2017

    • 著者名/発表者名
      Sugasawa, S. and Kubokawa, T.
    • 雑誌名

      Computational Statistics & Data Analysis

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.csda.2017.03.017

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Flexibly transformed empirical best prediction in finite population2017

    • 著者名/発表者名
      Sugasawa. S.
    • 学会等名
      Joint Meeting of ISI-ISM-ISSAS 2017
    • 発表場所
      Indian Statistical Institute, Delhi
    • 年月日
      2017-02-21 – 2017-02-21
    • 国際学会
  • [学会発表] Rare Variant 検出のための柔軟な検定手法2016

    • 著者名/発表者名
      菅澤翔之助
    • 学会等名
      日本計算機統計学会第30回シンポジウム
    • 発表場所
      プラサヴェルデ
    • 年月日
      2016-11-24 – 2016-11-24
  • [学会発表] 潜在混合密度回帰モデルによるグループデータ解析2016

    • 著者名/発表者名
      菅澤翔之助
    • 学会等名
      2016年度 統計関連学会連合大会
    • 発表場所
      金沢大学
    • 年月日
      2016-09-06 – 2016-09-06
  • [備考] 菅澤翔之助 個人ホームページ

    • URL

      https://sites.google.com/site/ssugasawastat/home

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公開日: 2018-01-16   更新日: 2022-01-28  

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