本年度は、1)不確かさを考慮したプラントモデルに自己駆動の手法を適用することで、制御に必要なシステムの状態のサンプリングとサンプリングデータの通信量を削減し、2)制御器が受け取るシステムの状態に対して事象駆動の手法を適用することで、アクチュエータ駆動とアクチュエータ駆動のための通信量を削減するという、2つのアプローチでネットワークを介した制御システムの省リソース化を図るため、昨年度に引き続き、研究を行なった。
まず、昨年度に構築した「パラメータと外乱に不確かさを持つ離散時間線形システムがuniform ultimate boundednessを満たすような自己駆動制御」を発展させ、アクチュエータ駆動を、毎サンプリング時刻に行うのではなく、事象駆動により決定することで、さらなる省リソース化を図る手法を構築することに成功した。このことにより、与えられたサンプリングとアクチュエータ駆動に関わるコスト比に対して、サンプリング回数とアクチュエータ駆動の回数の両方を同時に最適化することができ、全体のコストを最小化することが可能になった。
また、離散時間非線形システムに対しては、非線形システム制御手法の一つである離散時間状態依存型リカッチ方程式による制御入力の決定手法と事象駆動の手法を組み合わせ、システムを安定化させる省リソースな制御手法及び制御性能条件を満たす省リソースな制御手法をそれぞれ構築し、比較した。
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