研究課題
超高輝度超新星を明るくするメカニズムの解明のため、超高輝度超新星の明るさを説明するモデルとして現在特に注目を集めている、高磁場を持つ高速回転中性子星(マグネター)の回転エネルギーの開放による増光モデルを中心にその妥当性を調査した。特に超高輝度超新星の減光率がコバルト56の崩壊率に近いことに注目をした。超高輝度超新星の減光率がコバルト56の崩壊率に近いことは、超高輝度超新星がニッケル56の放射性崩壊により明るくなっているモデルを支持する論拠の1つであった。しかし、本研究により、マグネターであっても条件によっては爆発から最大約700日間はニッケル56の放射性崩壊と同じような振る舞いをもつ光度曲線を持つことができることが明らかになり、光度曲線が必ずしもニッケル56による増光を支持しているとは限らないことを示した。また、マグネターがどのような条件下でニッケル56と似たような振る舞いを持てるかを明らかにした。すばる望遠鏡HSCを用いて、高赤方偏移超高輝度超新星サーベイを行った。観測されたデータの中から、高赤方偏移超高輝度超新星候補の選定を行い、数十個の候補を選定した。特に、発見された高赤方偏移超高輝度超新星候補のスペクトル観測をオーストラリアのスインバン大学の共同研究者とともにKeck望遠鏡で2回行った。1回は天候に恵まれなかったが、1回の観測で赤方偏移2付近の超高輝度超新星候補4つのスペクトル観測を行い、3つの候補が高赤方偏移天体であることを確認した。これにより、赤方偏移2付近の超新星観測数が飛躍的に上昇した。
2: おおむね順調に進展している
超高輝度超新星を明るくするモデルに対する制限を与えることが出来た。また、高赤方偏移超高輝度超新星サーベイも行われ、候補天体の追観測も構築した国際協力体制を用いて実行でき、スペクトルを得ることが出来た。
どのような条件を持つマグネターがどのような超高輝度超新星の光度曲線を持てるかが明らかになったので、超高輝度超新星を形成するようなマグネターを作るために超高輝度超新星の親星がどのような進化をする必要があるかを明らかにする。また、これまでの高赤方偏移超高輝度超新星サーベイで得られた高赤方偏移超新星をもとに、初期宇宙での星形成に対する制限を与え、宇宙論への応用を試みる。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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