超高輝度超新星の明るさを説明するモデルとして有力であることを前年度に示した、 高磁場を持つ高速回転中性子星(マグネター)の回転エネルギーの開放による増光に至ることが可能な大質量星進化経路がどのように実現できるかを検証した。恒星内部での様々な物理素過程を見直し、多様な仮定のもとでの大質量星進化の違いを追った。この結果、超高輝度超新星に必要な組成と回転エネルギーを持つような大質量星が、現在の恒星進化論で標準的に使われている恒星内部での角運動量輸送率を10倍にすると自然に現れることが判明した。これにより、現在考えられているよりも恒星内での角運動輸送を効率的にする何らかの物理機構がある可能性を示した。この結果は、超高輝度超新星に限らず、ガンマ線バーストといった他の突発天体を起こす大質量星の発生機構にも大きな影響を与えていることが明らかになった。 すばる望遠鏡HSCを用いた高赤方偏移超高輝度超新星サーベイを継続して行った。特に2017年12月から行われたサーベイによって新たな高赤方偏移超高輝度超新星候補を発見した。しかし、天候不順によりスペクトルの観測が行われず、これらの赤方偏移の確定には至らなかった。これまでスペクトルを取ることに成功し、赤方偏移が高いことが確定している超高輝度超新星のみを用いて初期宇宙での超高輝度超新星発生率を見積もったところ、既に現在の宇宙での発生率と同程度であることが判明した。赤方偏移が確定しなかったものも含めると初期宇宙での超高輝度超新星の発生率は現在の宇宙より高い可能性が高く、初期宇宙で大質量星が現在よりもより多く作られている可能性があることが示された。
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