研究課題
ヘリカル核融合炉周辺領域を含むグローバルジャイロ運動論シミュレーションにむけた計算手法開発を行った。本手法は、トカマク核融合炉向けにプリンストンプラズマ物理研究所で開発されてきたジャイロ運動論Particle-in-cellコード "X-point Gyrokinetic Code(XGC)"を拡張し、任意の非軸対象な三次元磁場配位において高精度な計算ができるようにしたものである。三次元磁場平衡の磁気面構造や回転変換を正確に取り入れた三角形非構造格子系を新たに構築し、コア領域の平衡磁場とと周辺部の真空磁場を連続的に接続することで、複雑な磁場構造を持つヘリカル核融合炉周辺領域への適用を可能にした。開発された手法を大型ヘリカル装置(LHD)に応用し、GAM振動やゾーナル流減衰といったコア領域における基礎過程や真空容器壁での高速粒子損失の再現性を確認した。従来、これらはコア領域向けの新古典/乱流輸送コードや、緩和法で得られた周辺磁場データを用いた粒子軌道計算など、それぞれ独立したフレームワークで研究されてきた現象である。XGCでは、電子の運動をドリフト近似に基づいて陽的に計算することで電子運動論効果を部分的に取り入れることができるが、時間ステップ幅を電子ダイナミクスに合わせる必要があるため、計算量の大幅な増加が問題となる。この運動方程式の計算部分を、様々なSIMD幅やキャッシュサイズに柔軟に対応できる形で、CPUを用いた大型並列計算機に最適化した。京コンピュータの後継機であるFX100の場合、ピーク性能比20%を超える高い実効性能が得られている。これらの成果により、プラズマ閉じ込めモードの遷移を始めとしたコアと周辺部分が密接に関連した現象、あるいはブロブの発生といった周辺領域での乱流現象に関する運動論的な解析がヘリカル核融合炉でも可能になると期待される。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)
Physics of Plasmas
巻: 25 ページ: 03313
10.1063/1.5012937
High Energy Density Physics
巻: 23 ページ: 15-19
10.1016/j.hedp.2017.02.004