研究課題
有機薄膜太陽電池は、低製造コスト、柔軟性などの多くの利点から、将来のエネルギー変換デバイスとして近年大きな注目を集めている。電子ドナー(D)である半導体高分子と、電子アクセプター(A)であるフラーレン誘導体を薄膜中で混合したデバイス構造が広く用いられ、その界面で励起子が電荷に分離されることで発電する。これまで主に半導体高分子材料の開発によりその光電変換効率は向上してきたが、未だ実用化に必要と言われる15%を達成するには至っていない。光電変換効率を制限する最大の原因として、D/A界面で起こる電荷分離・再結合過程に関連したエネルギーロスが存在し、出力電圧を大きく失うことが挙げられる。しかし、この制限がどのような機構で決まっているかは明らかでなく、そのためのD/A界面構造と電荷移動挙動の相関の精密な解析も行われていなかったそこで本研究ではD/A混合膜中における界面構造を制御することで、そのナノ構造と光電変換素過程との関連を明らかにすること、また有機薄膜太陽電池のデバイス性能の向上を目指して研究を行っている。今回、ドナー層にp-typeドーパント、n-typeドーパントをそれぞれ混合し、ドーピングが太陽電池性能に与える影響を明らかにした。まずp-typeドーパントを混合した際には開放端電圧が低下し、逆にn-typeドーパントを混合した際には向上することに成功した。これはドーピングにより、ドナー層のフェルミ準位が変化したことで、D/A界面でのエネルギー順位接続をコントロールできたためである。このようにドーピングにより材料のフェルミ準位を制御することで、太陽電池性能の向上につながることを明らかにした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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