研究課題/領域番号 |
16H07428
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
中川 加奈子 国立民族学博物館, 南アジア地域研究国立民族学博物館拠点, 拠点研究員 (80782002)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 南アジア / 都市社会 / 食のグローバル化 / 肉食文化 / 食が紡ぐ社会関係 |
研究実績の概要 |
本年度は、1)ネパールの民主化・市場化に伴うカースト認識の変容の分析、2)ネパール食肉の近代化プロセスの調査・分析、3)南アジア都市における肉食文化に関する比較民族誌的研究への着手を行った。 1)については、博士論文をベースとした複数回の学会発表を行い、これまで蓄積してきたデータからの知見を理論的に洗練させ、その成果を共著本にて発表した。 2)については、ネパールでの現地調査やメディアなどの言説から、供犠儀礼と結びついていた食肉が市場での商品としての価値を獲得していくプロセスについて分析を進めた。次年度以降は、調理や家計を担う女性の役割に焦点を当てて食卓の近代化という観点も含め、研究を展開していくことを考えている。 3)については、これまで調査していたネパールに加えて、牛肉(水牛肉)輸出量が世界一となったインドの肉食文化に関する調査に着手した。本年度はコルカタに出張し、コルカタ市役所と民間企業が官民共同で経営している輸出用冷凍水牛肉の屠場を見学した。また、経営者にハラール対応のあり方やインド全土の屠場との連携のあり方、東南アジアや中東イスラム諸国をターゲットとする今後のプランの詳細について聞き取りをした。これらの調査により、官民の連携のあり方、また近代化が進んでいる分野(水牛肉)とそうでない分野(牛肉)の違いなど、コルカタのみならずインド全体の食肉市場の概観を得ることができ、これまで調査をおこなってきたネパールの食肉市場動向との共通点及び相違点を浮き彫りにすることができた。次年度も引き続き現地調査を行う予定である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
インド調査がコルカタ市役所の協力を得て順調に進み、資料収集や聞き取りで大きな成果を挙げることができた。これまでのネパール調査で得てきた知見と比較し、理論的枠組みにも進展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、前年度の調査で得られたデータをもとに、グローバル化時代の南アジア都市について公共性をキーワードとして考察を進める。具体的に、主に国際学会及び研究協力者にむけたワークショップにおける研究成果の発表を行うとともに、英文単著の出版準備を開始する。
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