研究課題/領域番号 |
16H07430
|
研究機関 | 公益財団法人世界人権問題研究センター |
研究代表者 |
呉 永鎬 公益財団法人世界人権問題研究センター, その他部局等, 専任研究員 (00781163)
|
研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
|
キーワード | 教育の公共性 / 外国人と公教育 / 公立朝鮮学校 / ローカルな関係性 / 外国人学校の制度保障 |
研究実績の概要 |
本研究は、戦後兵庫県内4つの市におよそ16年間存在した公立朝鮮学校の設置・存続・移管のプロセスおよびその教育実態を明らかにすることによって、教育の公共性をめぐる議論に対し具体的な史実を提供するとともに、外国人学校の制度保障のあり方を講究していくための手掛かりを探ることを目的とするものである。 2016年度においては、①兵庫県および尼崎市が所蔵する公立朝鮮学校関連の行政文書の発掘および整理、②運動会・卒業式等の学校行事関連の資料や作文集等、当該期の学校の様子を示す資料の発掘、③公立朝鮮学校で教鞭を執った者ならびに就学経験のある者への聞き取り調査を行った。 これまで公立朝鮮学校は、日本の教育行政や研究者、また朝鮮学校当事者からも、妥協の産物、あるいは非正常な状態と見做され、その実像やそこから汲み取るべき課題については、等閑視されてきたが、外国人のための公立学校が確かに存在したこと、また日本人と朝鮮人との絶え間ない交渉・討議によって、朝鮮語や朝鮮歴史といった教科の実施、朝鮮語を教授言語とする等、民族教育の要素を取り入れた教育が実施されていたという事実は、改めて注目すべきことだと言えよう。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
行政文書調査、朝鮮学校所蔵資料調査、関係者私蔵の資料の捜索、聞き取り調査等、おおむね順調に進展している。ただし、文書資料は当初の想定よりも圧倒的に少ないという印象である。引き続き、資料の発掘に努めなければならない。
|
今後の研究の推進方策 |
聞き取り調査を本格的に実施するとともに、文書資料の発掘・捜索に力を入れる。公文書館や図書館等で閲覧不可能な行政文書に関しては開示請求を行う。また別途行っている名古屋市の公立朝鮮学校、および先行研究の蓄積がある東京や神奈川の事例との比較検討を行うために、比較の軸、要素を設定する。兵庫県、神奈川県、愛知県において公立朝鮮学校が長期間存続できた要因を解明するとともに、全国公立朝鮮学校の類型を析出する。
|