研究課題
本研究では,二次元膜の圧力(表面圧)を変化させることで力が構造に及ぼす影響を理解し,揺らぐ柔らかい分子構造を自在に変形,調節し,特性をコントロールする制御法を確立させる.ここで,分子の存在する場を3次元空間から,2次元の気液界面に低次元化し,扱う系を単純化することで,分子制御を実現する.本研究は,分子を扱う場を制御することにより,分子構造そして分子特性を制御しようとするものである.本研究では,気水界面を分子の力学制御の場として用い,バルク材料に力を与えたときに分子レベルで何がおこっているかを計測,理解し,力に応答して,自在に変形する分子設計法の確立を目標とする.研究計画では,LE-TICT(直線-ねじれ)型構造をとり,分子の運動性により発光特性の変化を発現する基本骨格を用い,両親媒化した分子を合成することで,力学刺激によるナノ空間の特性変化をモニタリングすることを目的としていた.側鎖骨格を長鎖アルキル基,コレステリル基と構造と物性を変えた二種類のLE-TICT(直線-ねじれ)型分子を設計,合成し,気水海面での傾向挙動を調べた.その結果,両者は高い配向性をもつ単分子膜形成下では,力学刺激によらず分子内回転が抑制されず,蛍光は観測できなかった.このことは,分子内運動ができるナノ空間が単分子膜中で保存されていることを示す.一方さらに大きな力学刺激を加え,単分子膜が崩壊すると,分子内運動は抑制され,蛍光が観測され,分子内運動が抑制された.以上の結果を論文に報告した.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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