研究課題/領域番号 |
16H07442
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
北村 未歩 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 博士研究員 (00783581)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 界面磁性 / 酸化物 / 表面・界面 / X線吸収分光 / X線磁気二色性 / ペロブスカイト型酸化物 |
研究実績の概要 |
本研究では、酸化物ヘテロ構造における界面電荷移動現象と界面強磁性の関係を明らかにし、界面強磁性発現の起源を解明することを目的として研究を行った。この目的を達成するために、酸化物単結晶基板上にペロブスカイト型遷移金属酸化物のヘテロ構造を作製し、放射光光電子分光・X線吸収分光によって電荷移動の評価を、X線磁気円二色性の測定により、元素選択的な磁化状態の評価を行った。具体的には、ペロブスカイト型遷移金属酸化物LaNiO3とLaMnO3ヘテロ界面をターゲットとした。レーザー分子線エピタキシー法を用いて、膜厚を分子層レベルで制御しながら各層の膜厚が異なる複数の積層構造を作製し、膜厚変化に伴うスペクトル形状の系統的な変化を解析した。その結果、バルク体では常磁性のLaNiO3に、電荷移動で価数変化した界面1分子層の領域で磁化が発現していることが明らかとなった。また、LaMnO3側では、移動した正孔が空間的に広がった界面3-4分子層の領域で磁化が増大していることが分かった。さらに、NiイオンとMnイオンのスピンは強磁性的に結合していることを明らかにした。このことから、LaNiO3とLaMnO3のヘテロ界面における特異な磁気特性の発現には、界面電荷移動と移動した電荷の空間的広がりが必要であることを結論付けた。得られた成果をまとめて学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究によって、LaNiO3とLaMnO3ヘテロ界面で発現する特異な磁化の起源が、LaNiO3とLaMnO3間でやり取りした電荷の空間的広がりであることを明らかにした。得られた成果をまとめて学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究で得られた成果を論文としてまとめる。 また、別のペロブスカイト型酸化物へテロ界面をターゲットとして、電荷移動と界面強磁性の関係を明らかにすることで、特異な界面磁性発現の統一的な理解を目指す。
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備考 |
受賞: 第7回 (2016年度) 女性研究者研究業績・人材育成賞 (小館香椎子賞) 研究業績部門 (若手)
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