海馬のシータ波は10Hz程度の周期性を持った脳波であり、動物が実際に走行した順番通りに場所細胞群を発火させることが分かっていた(時間符号化)。これまで、海馬の時間符号化が、形態化連合記憶に関わる前頭前皮質や膨大後部皮質などの皮質領域とどのような関係があるのか不明であった。研究者代表は、ラットが形態化連合記憶課題を遂行中にシリコンプローブ電極を用いた大規模細胞外記録を実施することで、海馬のシータ波は海馬と皮質にわたる特定の細胞集団を同期発火させる役割を果たし、海馬の時間符号化が海馬―皮質間という広範囲の神経ネットワーク内の細胞集団活動であることを示した。
|