研究課題/領域番号 |
16H07446
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
洲嵜 ふみ 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 特別研究員 (70779727)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | イオン蓄積リング / ショットキーピックアップ |
研究実績の概要 |
本研究は理化学研究所RIビームファクトリーの稀少RIリングにおける、中性子過剰な不安定核の質量測定の精度を10倍向上させるため、位置感応型ショットキーピックアップを設置し、周回粒子の位置を測定することを目的に、以下を2年間で実施する計画である。 1. 位置感応型ショットキーピックアップを構成する共鳴空洞や取り出しカプラーについて、3次元電磁場シミュレーションを行い、設計する 2. 実機の反射測定により基本的な性能を評価し、位置感応性については電子銃を用いてオフラインで試験する 3. 実機を稀少RIリングにインストールし、1粒子の位置を検出する 当該年度は、稀少RIリングのマシンスタディと、既存の位置感応型ではない共鳴ショットキーピックアップによって検出したデータの解析と論文執筆を行った。稀少RIリングについてはマシンスタディを重ね、不安定核をリングに入射して質量測定する基盤が整った。マシンスタディにおいて既存の共鳴ショットキーピックアップはKrの1粒子の微小な信号を検出し、性能を証明した。位置感応型ショットキーピックアップについては、設計の構想と取り出し回路に組み込むローノイズアンプ・オフライン試験に用いるネットワークアナライザの整備を行った。本研究により稀少RIリングにおいて不安定核の質量が精度よく求めることができれば、「宇宙の元素合成において、鉄より重い元素はどのようにできたのだろうか?」という謎に答えるrプロセスの経路を決定することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、当該年度に電磁場シミュレーションを行い設計を完成させ、次年度において性能評価を行う予定であった。稀少RIリングのマシンスタディと既存の共鳴ショットキーピックアップについての投稿論文の執筆のため、位置感応型ショットキーピックアップの設計の完了には至らなかったため「やや遅れている」と評価した。 特に、論文執筆のための解析において見られたリングの内部の環境に依存した周回周波数の変動の裏付けに予想以上に時間がかかった。しかし、位置感応型ショットキーピックアップは既存の空洞型の共鳴ショットキーピックアップを発展させたものであるため、共鳴ショットキーピックアップの設計の詳細、とマシンスタディにおいて獲得したデータの解析により得た知見は、位置感応型ショットキーピックアップの開発において極めて重要である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は位置感応型ショットキーピックアップを設計し、稀少RIリングを周回する粒子の位置を検出することが目的である。現在の共鳴ショットキーピックアップの論文を投稿後すみやかに位置感応型ショットキーピックアップの設計値を決定し、実機について性能評価を実施する予定である。
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