研究課題
2017年度は前年度に完全解読した有中心粒太陽虫類とPolyplacosystis contractilisと、カタブレファリス類Leucocryptos marinaのmtDNAのアノテーションを行い、これまで取得した有中心粒太陽虫類Marophyrs sp.とカタブレファリス類Roombia sp.のmtDNAとそれぞれ比較した。L. marinaのmtDNAは約67 kbの環状ゲノムで、コードされている遺伝子セットはほとんどRoombiaのmtDNAと共通していた。一方でL. marinaのmtDNAにはリボソーム遺伝子の一部に少数のgIIイントロンが含まれているのみであり、これはmtDNA中に多数のgIIイントロン、またはgII様イントロンを含むRoombiaのmtDNAとは大きく異なっていた。このことは2種のカタブレファリス類のmtDNAは全く異なる進化を辿ったことを意味しており、spイントロンの進化を解明する上でRoombia mtDNAのイントロンを研究する重要性がより一層強調される結果となった。P. contractilisとMarophyrs sp.のmtDNAは共に約110 kbの環状ゲノムで、コードしている遺伝子やその並び順(シンテニー)もほぼ同一であった。2種のmtDNAからgIIイントロンは発見できなかったが、グループI(gI)イントロンは10~20個発見された。gIイントロンは種を越えて水平伝播することが知られているが、有中心粒太陽虫類のmtDNAに存在するgIイントロンも、その一部は緑藻類の葉緑体ゲノムに由来することが示唆された。このように、有中心粒太陽虫類のmtDNAからspイントロン進化についての手がかりを得ることはできなかったが、真核生物におけるmtDNAの多様性の一端を明らかにすることができたと言える。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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International Journal of Systematic Bacteriology
巻: 68 ページ: 598-601
10.1099/ijsem.0.002549