研究課題/領域番号 |
16H07457
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
浅野 貴子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 泌尿器科学, 助教 (40779336)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 癌 / シグナル伝達 |
研究実績の概要 |
ヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC)阻害薬は、分子シャペロンを抑制することで細胞内にunfolded proteinを増加する。一方、増加したunfolded proteinは、プロテアソームによって分解されるため、HDAC阻害薬単独での効果的な小胞体ストレス誘導は困難である。HIVプロテアーゼ阻害薬は分子シャペロンおよびプロテアソーム阻害作用を持つと共に、CYP3A4阻害作用も有するため、両者を併用することで相乗的な小胞体ストレスおよびヒストンアセチル化を誘導できると仮定した。今年度は、当研究室で保有する腎癌細胞株 (769-P, 786-O, Caki-2)に対して、HDAC阻害薬entinostatとHIVプロテアーゼ阻害薬ritonavirを用いて併用療法を行い、その効果と分子生物学的なメカニズムを検証した。まず、cell viabilityをMTS assayを用いて検討したところ、全ての細胞株において相乗的な殺細胞効果を認めた。また、colony formation assayでは、有意なコロニー形成阻害作用を認めた。細胞周期の変化を検討したところ、有意なsub-G1 fractionの増加を認め、またwestern blot法では、cyclin D1、cyclin-dependent kinase 4の発現減少を認めた。同様に、アポトーシス誘導を検討したところ、併用療法によってannexin V陽性細胞の効果的な増加を認めた。またwestern blot法でアポトーシス関連蛋白の効果的な発現増加が立証できた。作用メカニズムに関してはwestern blot法で小胞体ストレスマーカーの発現増加を認めるとともに、相乗的なヒストンアセチル化も確認された。今年度は、更に、entinostatとritonavirを用いたin vivoにおける検討も開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の仮定通り、腎癌細胞におけるHDAC阻害薬entinostatとHIVプロテアーゼ阻害薬ritonavirの併用では、in vitroにおいて相乗的な抗腫瘍効果を認めた。また、そのメカニズムとして、小胞体ストレスの誘導、およびヒストンアセチル化を示すことが出来た。更に、in vivoにおける検討も開始出来ており、研究は、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
HDAC阻害薬entinostatとHIVプロテアーゼ阻害薬ritonavirの併用について、in vivoにおける抗腫瘍効果の検討を更に推進していく。特に、in vivoにおける腫瘍検体に関して、in vitroでのメカニズムと同様に作用しているかを確かめるためにwestern blot法で蛋白発現を検証する。更に、他のHDAC阻害薬、HIVプロテアーゼ阻害薬を用いて同等の治療効果、さらには更に強い抗腫瘍効果を認めるか検証を進める。また、小胞体ストレスとヒストンアセチル化の関連について、小胞体ストレス阻害薬を用いた検討を行うことで、相互関係を追究していく。
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