ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬単独での効果的な小胞体ストレス誘導は困難である。HIVプロテアーゼ阻害薬は分子シャペロンおよびプロテアソーム阻害作用を持つと共にP-glycoprotein阻害作用も有するため、両者の併用が効果的に小胞体ストレスとヒストンアセチル化を誘導すると仮定し研究を行った。HDAC阻害薬entinostatとHIVプロテアーゼ阻害薬ritonavirの併用は腎癌細胞においてアポトーシスを誘導し、相乗的に細胞増殖を抑制した。また、予測通り、小胞体ストレスおよびヒストンアセチル化を誘導した。マウス皮下腫瘍モデルを用いた検討でも、併用は有意に腫瘍の増大を抑制した。
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