本研究課題は国立がん研究センターおよび共同研究者らが提供する豊富な臨床検体と臨床情報を積極的に活用し、ヒストン修飾等の網羅的解析の一手法であるChIP-seqを行い、膨大な情報を統合データベースとして構築し、新規バイオマーカーの同定及び分子標的治療薬の創生を目指している。現時点において、共同研究者らが提供する臨床検体を用いて、肝細胞癌(HCC)430例のヒストン脱メチル化酵素(LSD1)特異的抗体を用いた免疫染色実験を行い、タンパク質レベルにおける網羅的な発現解析を行った。既に病理組織学的解析を完了しており、現在肝細胞癌由来の細胞株を用いた詳細な分子生物学的解析を行っている。データがまとまり次第、学術論文として発表する。 更にChIP-seq解析の臨床学的応用を目指し、FFPEサンプルを使ったChIP-seq解析を行っている。現時点で、数種類のヒストンマーク及び転写因子のChIP-seqに成功しており、様々な検体を用いた我々のChIP-seq法の検証実験を行っている。本実験もデータがまとまり次第、学術論文として発表する。以上の研究成果に基づいて、統合データベースを構築し、機械学習・深層学習の手法を用いた、薬剤効果判定の為の新規バイオマーカーを探索する。
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