研究課題/領域番号 |
16H07468
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
小澤 暁人 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 安全科学研究部門, 研究員 (20783640)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 地球温暖化ガス排出削減 / 省エネルギー / 家庭用エネルギー / 家電製品 / 燃料電池 |
研究実績の概要 |
わが国の温室効果ガス排出削減目標達成に向けて、家庭部門の低炭素化は喫緊の課題であり、そのためには個別の技術評価に基づいた従来的な技術普及策ではなく、技術の複合利用を想定した効果的な普及策を示すことが不可欠である。本研究では、これまで個別に技術評価されてきた需要側(家電製品など)・供給側(燃料電池など)の家庭用エネルギー技術について、導入による経済性・環境性を包括的に評価する手法を開発し、経済・環境の両立するエネルギー技術システムの普及策を提案することを最終的な目的とする。 初年度は技術評価に必要となる2種類のモデル開発をおこなった。まず、家電・給湯製品の使用実態調査に基づいて家庭の電力・給湯需要を15分刻みで推計するモデル(以降、需要推計モデル)を拡張し、異なる性能の家電・給湯製品を導入した時の需要推計を可能にした。この拡張版の需要推計モデルを用いて、家電製品(冷蔵庫・テレビ・照明など)の買い替えによる家庭電力需要パターンの変化を示すとともに、家庭の節電量・費用負担額・温室効果ガス排出量を買い替える家電製品の種類別に評価した。 さらに、与えられた需要パターンに対して家庭用燃料電池を利用したときの最適なエネルギー供給をシミュレーションするモデル(以降、最適供給モデル)を開発した。この最適供給モデルを用いて、異なる需要パターンを想定した場合の燃料電池導入による家庭エネルギー需給構造の変化を示すとともに、家庭の温室効果ガス排出量を燃料電池の性能別・需要パターン別に評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書において、(1)省エネ家電・給湯製品導入時の家庭エネルギー需要の推計と(2)最適供給モデルの開発及び家庭エネルギー需給のシミュレーションの2つを初年度の研究課題とした。 (1)に関しては、需要推計モデルの拡張によって異なる性能の家電・給湯製品を導入した時の需要推計を可能にするとともに、モデルを用いて家電製品の買い替え効果を評価することにより、当初の計画を達成している。 (2)に関しては、燃料電池を対象とした最適供給モデルを開発し、燃料電池の導入効果を評価した。当初の計画では自然エネルギー利用技術(太陽光発電など)も評価対象として最適供給モデルに組み込む予定であったが、膨大な日射データの解析に想定よりも時間を要することが判明したため、自然エネルギー利用技術のモデル化は次年度も継続して取り組むこととした。代わりに、次年度に実施を予定していた、モデルの境界条件の統一など統合にむけた準備作業を優先的におこなったので、全体としては概ね順調に研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最適供給モデルの評価対象を燃料電池以外にも拡張し、需要推計モデルと最適供給モデルを統合することで、需要側・供給側の家庭用エネルギー技術を包括的に評価できるようにする。統合モデルを用いて、様々な家庭用エネルギー技術の組み合わせを導入したときの家庭の経済負担額・温室効果ガス排出量を評価することで、相性の良いエネルギー技術の組み合わせを提示するとともに、複数技術の普及策を取った場合の技術導入量・温室効果ガス排出削減量のポテンシャルを評価する。
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