研究課題/領域番号 |
16H07471
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
楽 優鳳 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 研究員 (00784109)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 太陽電池 |
研究実績の概要 |
近年、有機・無機ペロブスカイト太陽電池は次世代太陽電池として注目されている。ペロブスカイト太陽電池の高耐久性を実現するためには電極材料および界面材料が重要であることが明らかである。本研究の目的は、ナノカーボン材料を用いることで、耐久性をもつペロブスカイト太陽電池を開発する。耐屈曲性・環境安定性にも優れるCNT・グラフェンを活用することで、低コストかつ高信頼性のフレキシブルペロブスカイト太陽電池を目指している。H28年度は、CNT・グラフェンの分散液などを製膜し、膜の表面やペロブスカイト膜との界面の制御技術を開発した。作製したCNT・グラフェン薄膜の疎水性により、ペロブスカイト前駆体溶液がCNT・グラフェン薄膜へ浸潤は困難であることが分かった。CNT・グラフェンの分散液中、CNTの含量が増加すると疎水性が強くなる傾向である。そして、作製したCNT・グラフェン薄膜をプラズマ処理することで、薄膜の疎水性を抑えることができた。更に、グラフェン中CNTの含有量を制御することにより、ペロブスカイト薄膜の平滑度をコントロールすることに成功した。一方、CNTの含有量により、薄膜の導電性が変化し、太陽電池の効率への影響も確認された。H29年度の研究計画の予備検討として、薄膜の上に電子輸送層など(PCBM、BCP)を製膜し、デバイスの作製を試みた。これらの結果から、ナノカーボン材料とペロブスカイト薄膜の接触界面が非常に重要であることが明らかになり、その検証が現在行っている。次年度は、さらに成膜条件の検討を行って、フレキシブル太陽電池を試作する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デバイス作成に関しては、一部H29年度の計画を本年度に前倒しで行った。一方、本年度の目標に向け、検討を開始したところ、CNTの疎水性の影響を受け、平滑なペロブスカイト膜を得ることが困難だった。成膜性についての課題が見いだされ、現在さらに成膜条件の検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度究明したCNT・グラフェン薄膜の疎水性制御技術を用い、今後ナノカーボン材料とペロブスカイト薄膜の界面を上手く制御する。さらに成膜条件の検討を行って、フレキシブル太陽電池を開発する。また、太陽電池の効率と安定性にまだ課題があり、太陽電池のコストもまだ高い。今後、高効率且つ安定性の高い太陽電池の開発に注力する一方、廉価なナノカーボン太陽電池の実用化を推進する。
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