研究課題/領域番号 |
16H07472
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
夏 鵬 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 分析計測標準研究部門, 研究員 (80768458)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 位相計測 / 強度輸送方程式 / 複素振幅計測法 |
研究実績の概要 |
本研究では、強度輸送方程式による複素振幅計測法に必要な複数の強度画像を単一の撮像素子を用いて1回の撮影で記録し、干渉を利用しなく、動く物体の強度と位相を同時に計測することを実現する。 まず、高出力LED光源、偏光板、一軸性光学結晶、偏光イメージングカメラを用いた実証システムを設計と構築を行った。LEDからの発散光を平凸レンズで集光し、集光した部分にピンホールを設置して空間フィルタリングをしてLEDからの光の波面整形を行った。被写体には、透過型の生物標本を設定した。波面整形をした光ビームは被写体を透過した後、偏光板を透過し、縦方向の垂直偏光となり、次に、高速軸を45度に設置した一軸性光学結晶を透過した。カスタム一軸性光学結晶は高額であるため、その代わりにマルチオーダ波長板を用いた。偏光イメージングカメラを導入する前に、一般的なカメラと偏光板合わせた構成で原理確認実験を行った。構築したシステムにおいて、カメラ前の偏光板を利用して、それぞれ低速軸と高速軸を透過した物体光の2枚の強度画像を記録し、計算機上で、提案法の像再生処理を行った。標準画像がないため、得られた被写体の強度と位相情報の評価ができなかった。 本技術は伝搬距離が異なる2枚強度画像から物体の位相情報を求める。異なる物体に対して、2枚強度画像の最適な間隔が異なるため、まず複数種類の物体を仮定し、計算機シミュレーションにより各物体(透明フィルムや細胞液など)の最適な2枚強度画像の間隔を解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
強度輸送方程式による複素振幅計測法に必要な複数の強度画像を単一の撮像素子を用いて1回の撮影で記録システムの設計と試作を行った。計算機シミュレーションにより異なる被写体の最適な強度画像の間隔を解明した。以上の成果が得られていることにより、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、強度輸送方程式による複素振幅計測法に必要な複数の強度画像を単一の撮像素子を用いて1回の撮影で記録し、干渉を利用しなく、動く物体の強度と位相を同時に計測することを実現することである。現在構築したシステムは一軸性光学結晶と偏光イメージングカメラが必要である。異なる物体に対して、必要な一軸性光学結晶の厚さが異なり、システムの汎用性が低い。また、偏光イメージングカメラが高額であり、構築したシステムのコストが高い。今後、汎用カメラ及びカバーガラスを用いる単一露光で強度輸送方程式による複素振幅計測システムの開発を展開する。
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