本研究では、強度輸送方程式による複素振幅計測法に必要な複数の強度画像を単一の撮像素子を用いて1回の撮影で、光の干渉を利用しなく、動く物体の強度と位相情報を同時に取得することを実現し、開発システムの性能を評価する。更に、異なる物体に対して2枚の強度画像の最適な間隔を調査する。昨年度、偏光イメージングカメラを導入する前に、高出力LED光源、偏光板、一軸性光学結晶(マルチオーダー波長板)、汎用カメラを利用して評価用のシステムの構築し、複数種類の物体を仮定し、計算機シミュレーションにより各物体(透明フィルムや細胞液など)の最適な2枚強度画像の間隔を解明した。今年度、高額な偏光イメージングカメラを利用せず、汎用カメラ及びカバーガラスを用いる単一露光で強度輸送方程式による複素振幅計測システムを検討した。市販されているカバーガラスの厚さは必要な光路長のシフト量を超えていること判明した。また、構築したシステムの性能を向上するために、構築したシステムにおいて、照明光の強度、結像レンズの収差、照明光波面の均一性などを評価した。物体を設置せず,照明光画像の隣接画素の画素値は5%程度のばらつきがあることが分かった。更に、本技術の測定精度に最も影響する要素は照明光プロファイルのばらつきであることが分かった。その結果により,提案システムの性能を向上するために,照明光波面補正アルゴリズムなどの導入が必要であると考えられる。
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