「顧みられない熱帯病」の一つであるシャーガス病は、病因原虫のクルーズトリパノソーマを昆虫ベクターが媒介することによりヒトに感染する。中南米を中心に年間1万2000人ほどが死亡している。現行の治療薬は強い副作用を伴い、慢性期の患者には効かないため、新たな薬剤の開発が強く求められている。 本研究では、クルーズトリパノソーマの創薬標的の探索を行った。CRISPR/Cas9システムを利用して標的候補を複数ノックアウトし、クルーズトリパノソーマの必須遺伝子を特定した。更に遺伝子産物を大腸菌で大量発現し、創薬に繋がる次のステップとなる阻害剤のスクリーニングや結晶構造解析へと繋げることができた。
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