研究実績の概要 |
本研究では、すばる望遠鏡などを利用して、惑星形成領域における赤外円および直線偏光観測を行うことを目指している。惑星形成の場である原始惑星系円盤の観測には、0.1秒角程度の解像度が不可欠であり、8m級望遠鏡と補償光学の利用が不可欠である。本研究の究極的な目標は以下のとおりである。世界で初めて 0.1秒角での赤外円偏光観測を実現し、これによって、原始惑星系円盤の円偏光場をマップし、散乱の効果および磁場の影響について、直線偏光と組み合わせて解明することである。同じデータから、円盤上層部のダストサイズ・性質の情報も得ることも期待できる。これと並行して、より大きなスケールでの赤外円偏光観測も継続し、さまざまなスケールでの円偏光の振舞を理解する。 本研究のため、1年目は南アフリカにある近赤外線サーベイ望遠鏡 IRSF を用いて星・惑星形成領域の円偏光サーベイ観測を行い、その結果を欧文査読論文として2編出版し(Kwon et al. 2016a, ApJ, 824, 95, Kwon et al. 2016b, AJ, 152, 67)、2年目は引き続き3編出版した(Kwon et al. 2018a, ApJS, 234, 42, Kwon et al. 2018b, ApJ in press, Kwon et al. 2018c, AJ in press)。本研究は、今後、円盤スケールでの円偏光と生命のホモキラリティーの議論を初めて行うことにつながる。 さらに、すばる望遠鏡において高解像度赤外円偏光の観測を行うための偏光器のアップグレードを完了し、試験を行った。 本研究で取得している円偏光データは、いずれも過去にはない全く新しいデータであり、星形成、円盤およびアストロバイオロジーの研究に新展開をもたらすものと期待される。
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