研究実績の概要 |
本年度は、地域在住高齢者の食事摂取パターンの実態およびフレイルとの関連を検討した。ケースコントロールデザインとし、鳩山コホート研究の対象者からサブサンプルとして40名(ケース13名、コントロール27名)を本研究の対象者として抽出した。フレイルの判定には、介護予防チェックリスト(新開ら, 公衆衛生雑誌, 2013)を用い、2点以上をフレイル・プレフレイルとした。不連続3日間の食事記録調査を実施した。本研究では、フレイル予防の観点から、たんぱく質を主な分析対象とし、各食事区分(朝、昼、夕、間食)の摂取量および摂取比率(各食事区分の摂取量が1日の摂取量に占める割合)を算出した。解析は、従属変数をフレイルの有無、独立変数を各食事区分の摂取比率としたロジスティック回帰分析を行い、Substitution modelを用いて、夕食のたんぱく質摂取比率を他の食事区分(朝食・昼食・間食)からの摂取比率に置き換えたときの影響度を検討した。その結果、たんぱく質摂取量の平均値±標準偏差は、朝食22.9±8.8g、昼食21.2±7.5g、夕食30.2±7.3g、間食6.6±5.5g、1日合計80.9±18.5gであった。性・年齢・1日のたんぱく質摂取量・エネルギー摂取量を調整したロジスティック回帰の結果、夕食たんぱく質摂取比率(P%)の代わりに朝食P%を1%増やすと、プレフレイル・フレイルの該当リスクが有意に低値を示した(オッズ比:0.80、95%信頼区間:0.65-0.98)。同様に、夕食のP%の代わりに昼食P%を1%増やすと、プレフレイル・フレイルの該当リスクが低値を示す傾向がみられた(オッズ比:0.81、95%信頼区間:0.66-1.00)。以上の結果から、朝食および昼食のたんぱく質摂取量を増加させ、毎食のたんぱく質摂取量を一定量確保することが、フレイル予防にかかわる可能性が示唆された。
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