研究課題/領域番号 |
16H07493
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工 |
研究代表者 |
宮本 慎太郎 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, システム工学群, 助教 (60782711)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 繊維-粒子複合材料 / 可視化実験 / 画像解析 |
研究実績の概要 |
繊維―粒子複合材料の構成モデルを高度化するために,せん断変形時の繊維系材料および粒状材料の挙動を把握する可視化実験を行った.さらに,繊維系材料の劣化特性を把握するための劣化促進試験装置,および繊維系材料の空間的ばらつきを評価するための模型実験装置の整備を行った. 可視化実験については,アクリルで作製した一面せん断試験装置を開発し,ガラスビーズと繊維系材料による複合材料を対象として実験を行った.実験時には,供試体及び繊維系材料の挙動を撮影し,撮影した画像からPIVによる画像解析を行った.その結果,複合材料がピーク強度を示すまでのせん断領域では,繊維材料は引張挙動を示し,ピーク強度発現後にはせん断変位量の増加に伴って徐々に引き抜けていく挙動を示すこと,またその際には,繊維系材料の両端は変形しない定着領域となり,せん断面中央部で引張領域が発生することを明らかにした.さらに,繊維系材料を近接して設置した場合には,繊維系材料と粒状材料は一体化して変形するようになり,繊維系材料の数や配置によって複合材料の内部挙動が変化していく様子を把握した.これらの実験成果を元に,繊維系材料の挙動を反映した構成モデルの高度化を図っている. 土中内での繊維系材料の劣化特性を把握するための劣化促進試験装置の整備を行った.また,気中での繊維系材料の引張特性との比較を行うために,温度調節が可能な引張試験装置の準備を行った.現在,気中と土中での繊維系材料の引張特性の違い,および温度やPHが異なる場合の劣化特性を把握するための実験準備を行っている. 繊維系材料の空間的なばらつきが地盤の安定性に与える影響を把握することを目的として,支持力を測定する模型実験装置の整備を行った.珪砂6号による予備実験によって,実験装置の精度を検証しており,現在,繊維―粒子複合材料を対象とした実験の準備を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
可視化実験によって繊維系材料の土中内の挙動を把握することで,繊維系材料の特性を反映した構成モデルの高度化への可能性を示すことができた.さらに,繊維系材料の劣化特性を把握するための劣化促進試験装置,および繊維系材料の空間的ばらつきが地盤の支持力に及ぼす影響を評価するための模型実験の整備を行った.促進劣化試験および支持力実験は,順次,繊維―粒子複合材料を対象とした実験を行っていく予定である.劣化促進試験については,予定より少し遅れている部分はあるものの,使用するすべての実験装置の整備は整っており,全体的にはおおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
繊維系材料の劣化特性を解明するための実験,および繊維系材料の空間的ばらつきの影響を解明するための実験を順次行っていく予定である.劣化促進試験では,温度およびPHの違いが繊維系材料の劣化特性に及ぼす影響を把握する.空間的なばらつきに関する実験では,繊維系材料の空間的ばらつきが地盤の支持力に及ぼす影響を把握する.これらの実験成果を元に,時間・空間的なばらつきを統一的に評価する手法の開発を行う.
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