本研究の目的は高齢者による老性自覚の認知処理に関わる脳領域を探り、神経生理学的機序を解明することである。研究1では老いを連想させる老い語と連想させない非老い語を選定し、実験的に老性自覚を引き起こす課題を考案した。研究2ではfMRIによって課題遂行中の脳活動を測定した。自己認識過程に関わる内側前頭前皮質などの脳領域と老性自覚の関係に注目した解析デザインを考案した。また、主観的な老いの評価と身体・認知機能における客観的な老いとの関連も検討したところ、主観的老いと客観的老いとの関連は示されなかったが、主観的評価として実年齢よりも若いと感じることが主観的幸福感と関連することが示された。
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