現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の現地調査によって得られた知見に基づいて、研究の計画、方針について軌道修正し、その結果、研究成果が得られた点は評価できる。地方分権化政策前後の比較を目的とした独自の質問紙調査を行う前に、関連する文献のレビューや現時点で入手可能な大規模学力調査、家計調査などで可能な分析を進めた上で現地調査を設計する必要があった。当該年度に実施したPISAによる自律的学校運営の分析結果は、教育制度と世代間移動の関連性を検証を進めていく上での重要な示唆を提供してくれた。
昨年度(平成28年度)の研究はジャカルタとバンドンに赴き、インドネシアの基礎教育における学校運営の実態を見てきた際に、地方分権化と教育制度の関連性を調べるには分析の枠組みを再検討する必要性がある事を実感した。当初は分権化以前と以降における学校運営の実態を比較する計画を立てていたが、学校長や教育行政官へのインタビューを通じて、2000年頃から継続して現在の職に就いている方々がほとんど存在しないことが明らかになった。また、自律的学校運営を具体的にいつからどの程度実施してきたかという点についても、一度の短期間の渡航では、その実態の把握は困難であった。よって、自律的学校運営の効果について調べる前に、自律的学校運営の実態や関連政策のレビューやマクロレベルでの傾向分析を先に進める必要があると考えるに至った。
現地への渡航を来年度以降に見送った一方で、平成29年度の上半期は、インドネシアの基礎教育や自律的学校運営に関する先行研究レビュー、そしてPISA2000,2003,2006,2009,2012,2015を入手し、分析可能な状態にするようデータの結合・整理を中心に行った。下半期はデータ分析を中心に行い、研究成果を文書にまとめた。また、データ分析手法に関する研修を受講し、分析スキルの強化をした。
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