研究課題/領域番号 |
16J00073
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
槇野 義輝 横浜国立大学, 工学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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キーワード | 光照射固体NMR / センサリーロドプシン / 化学シフト値計算 / レチナール / 膜タンパク質 / フォトサイクル / 量子化学計算 / ロドプシン |
研究実績の概要 |
センサリーロドプシンは微生物の細胞膜中に存在する光受容膜タンパク質であり、微生物の光に対する誘因・忌避応答である正および負の光走性を担っている。このセンサリーロドプシンは発色団レチナール(ビタミンAアルデヒド)を固有のLys残基側鎖とシッフ塩基結合を介して保持している。レチナールは光異性化することで光走性を発現することが知られている。本研究課題では光走性の機能発現機構を解明することを目的として光中間体におけるレチナールの詳細構造とレチナール-タンパク質相互作用を明らかにすべく、光照射固体NMR法及び量子化学計算に基づく化学シフト値計算によってレチナールの詳細構造を評価している。 平成28年度においてはレチナールの13C=14C結合のtrans/cis配座変化と大きな相関がある20位のメチル炭素および15C=5N結合のsyn/anti配座変化と相関のある14位の炭素原子を13C安定同位体標識したセンサリーロドプシンを光照射固体NMRを用いて13C CP-MAS NMRで測定した。その結果M中間体とは化学シフト値の異なるN’中間体を観測した。 この観測したN‘中間体を含めた光中間体の化学シフト値変化が発色団レチナールのねじれ構造に起因するものであり、そのねじれを生じさせる原因がレチナール‐タンパク質間の相互作用によるものであると着想したため、量子化学計算を用いてレチナールの構造と化学シフト値変化の相関を検証した。量子化学計算はGaussian 09プログラムを用いて密度汎関数理論(DFT)を使用した。使用した密度汎関数は膜タンパク質を含めて多くの計算に広く用いられるB3LYPを用いた。B3LYP/6-311+g(2d,p)における磁気遮蔽テンソルをGIAO法によって計算した。その結果、N’中間体はM中間体に対して45度ほどねじれた構造であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光照射固体NMRで観測されたレチナールの化学シフト値変化を量子化学計算に基づく化学シフト値の解析から評価できている点において課題はおおむね順調に進んでいる。 本研究課題においてはセンサリーロドプシンIIの化学シフト値変化を参照してセンサリーロドプシンIに関するレチナールの光中間体構造の詳細を明らかにすることが最終的な目的である。よってセンサリーロドプシンIの光照射固体NMR測定を速やかに行う。
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今後の研究の推進方策 |
センサリーロドプシンIの固体NMR測定を行うにあたりサンプルの発現量が少ない問題があった が、発現系のスケールを大きくすること及び試料調整の際のバッファ-等の見直しで測定に必要な量のサンプルを調整できている。 本研究課題においてはセンサリーロドプシンIのレチナールの詳細構造の解明が最終的な目的であるので速やかに光照射固体NMR測定を行う。特にセンサリーロドプシンのシッフ塩基塩基部位のN原子の光照射時での化学シフト値変化はシッフ塩基のプロトン化/脱プロトン化の判断に必要であるため優先的に光照射固体NMR測定を行い、プロトン化の状態を解明する。
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