研究課題
平成28年度、報告者は世界初の化学発光膜電位指示薬(LOTUS-V)の開発に成功した(Inagaki, S. et al. Scientific Reports. 7:42398. 2017)。平成29年度では、アデノ随伴ウィルスを介してこのLOTUS-Vを、マウス第一次視覚野の神経細胞特異的に発現させ、ファイバー・フリーな状態で脳活動計測を行った。このファイバー・フリー計測手法の優れた点は、細胞種特異的な電気的シグナルを、自由行動下の複数マウスから計測可能な点である。この新規の計測法を用いて報告者は、第一次視覚野の神経細胞の活動が、マウスの移動速度に応じて、有意に上昇することを確認した。また四匹のマウスを同じケージに入れ、暗箱下で同時に脳活動計測を行うと、興味深いことにマウスどうしが互いに接触した際に、第一次視覚野の神経細胞の活動が有意に上昇することを発見した。またこの活動はマウスが移動している状態(Active state)、止まっている状態(Resting state)でも同程度上昇した。以上の結果から、報告者の開発した新規のファイバー・フリー計測法を用いれば、社会性行動時の脳活動を複数動物から計測可能であり、また新規の神経活動の発見に有用であることが示唆された。さらにこの計測法を用いれば、簡易に脳活動を計測可能であることから、対人恐怖症などの社会性不安障害を和らげる薬の開発などに有効であることが予想される。以上の結果については現在論文投稿作業中であり、今年度中に国際誌にアクセプトされることが期待される。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Proc. SPIE.
巻: 10482
10.1117/12.2302396
巻: 1025102
10.1117/12.2267502
bioRxiv
巻: なし
https://doi.org/10.1101/203422