研究課題/領域番号 |
16J00411
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今泉 修 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(PD) (60779453)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | 身体 / 幻肢 / ミラーセラピー / 痛み / 主体感 / 所有感 / アイデンティティ / 精神病理 |
研究実績の概要 |
身体や運動にともなう自己感覚について健常群と臨床群における研究をおこなった。 腕や脚の切断後にそれらが存在し続けるように感じられることがある。これを幻肢という。切断による求心性入力の欠如に起因して,幻肢は痛みをともなうことが多い。痛みを軽減するために,鏡に対側の健肢の運動を映して切断肢に関する視覚情報を補う鏡療法が用いられてきた。これにより痛みが軽減したり幻肢の随意運動が獲得されたりすることがある。しかし鏡療法が効く機序や,鏡療法により幻肢や身体に関する主観経験がどう変容するかはよくわかっていなかった。筆者らは片腕切断者の協力を得て,鏡療法によって幻肢の随意運動感覚(主体感)がすぐに増すこと,ただしその時点で痛みは軽減しないことを示した。鏡療法によって幻肢の運動や痛みは段階的に変容していく可能性がある。この成果を国際誌に発表した(Imaizumi et al., 2017)。 他方で健常者を対象として,主体感などの身体的自己感覚が,どのようにアイデンティティ等の概念的自己感覚に関連するかを検討した。さらに,こうした身体的自己と概念的自己の関連が,種々の精神疾患(例:統合失調症)傾向と関連するかを検討した。第一の質問紙調査によって,身体や経験の所有感が自己一貫性という概念的自己感覚を予測することが示されたが,因果関係の推論にふみこんで詳しく解析する必要がある。第二に,身体像描画課題と多数の精神疾患傾向尺度をもちいた大規模調査をおこなった。結果,これまで見落とされてきた身体像特徴量・自己感覚と精神疾患(例:社交不安)との関連が新たに示唆された。これについても解析途中であり,一連の調査結果については来年度内に論文にまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幻肢痛と身体的自己感覚の関連について検討してその成果を公表できたが,予定していた精神病理的傾向と身体的自己感覚の関連の検討を完遂していないため。
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今後の研究の推進方策 |
2つの調査で得たデータに対して疎性推定や統計的因果推論などを用いて詳細な解析を進める。これらの成果を国際誌に公表する予定である。
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