研究課題/領域番号 |
16J00465
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
東海林 由憲 山形大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | アミノ酸合成 / ペプチド合成 / 蛍光プローブ / CCR5阻害能評価 |
研究実績の概要 |
調製した異常アミノ酸を用いてCallipeltin Q の固相全合成を行った。Fmoc-Pip-OHをDIPEA条件下で2-クロロトリチルクロライド樹脂に担持し、20% ピペリジン/DMFによりFmoc基を除去した。次に、Fmoc-βMeOTyr-OH をDMF中、PyBOP/HOBt/DIPEA の条件で縮合し、再びピペリジンで処理することでFmoc基を脱保護した。同様にしてアミノ酸のカップリングと脱保護を繰り返し、ペプチド鎖を伸長した。最後に20% HFIP/CH2Cl2 溶液を用いた樹脂から切り出し、TFAによる側鎖保護基の脱保護によりCallipeltin Q を微量ながら得ることに成功した。さらなる収率の向上のために副生成物の解析を行ったところ、3-MeGlnのアミノ基が分子内で環化した化合物が得られていることが分かった。これを防ぐため、側鎖官能基を保護した3-MeGln(Xan)の合成を行った 。合成した3-MeGln(Xan)を用いて同様に固相合成を行ったところ、予想通り副生成物である環化体は確認されず、望む化合物を得ることができた 。その後、最後までペプチド鎖を伸長し、20% HFIP/CH2Cl2 による樹脂から切り出し、50% TFA/CH2Cl2 で側鎖保護基を除去することで Callipeltin Q の全合成を達成した。 また、新たなCCR5阻害能の評価系に用いる蛍光TAK779の合成を行なった。TAK779と蛍光化合物であるクマリンとの接続に難があったが、最終的にヒュスゲン環化によって繋げることができた。しかし、HEK/CCR5 細胞との相互作用を確認することはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CCR5阻害能を有するペプチドの合成にあたり、深刻な副反応の進行が見られた。これにより望むペプチドをほとんど得ることが叶わなかった。そこでこの副反応を避けるために、新たに異常アミノ酸をデザインし合成する運びとなった。その合成法を確立するのに時間がかかり、その後ペプチドに組み込んだため、やや進捗に遅れが出ている。カリペリチン Q の全合成自体は達成することができたので、今後アナログ体合成や、細胞毒性試験を行いたい。 また、TAK779を利用した蛍光プローブの合成においては、化合物の溶解性などの問題からTAK779と蛍光剤をリンカーで繋ぐことに苦戦した。時間はかかってしまったが、当初の予定通り、阻害剤とクマリンを接続した化合物を得ることができた。しかし、HEK/CCR5 細胞に対し播種を試みたが、その蛍光を確認することができなかった。そのため、細胞と化合物の両方の面から原因を探っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
直鎖ペプチドであるカリペルチン Q の全合成を達成したので、環状ペプチドを含むアナログ体の合成を行う予定である。環状ペプチドの合成に関しては、これまでにホモフィミン類の環状部やモデルペプチドの環化反応、ならびに カリペルチン B の合成などで多くの知見を有している。それを駆使し、Homophymine B を含む誘導体を効率的に構築して行く。その後、含まれる異常アミノ酸やD-アミノ酸をタンパク性アミノ酸に置換した誘導体を合成し、HeLa歳暮翁に対する毒性試験や、CCR5阻害能評価を行い活性必要部位の特定を行う。その後、低分子化や非ペプチド化など、医薬品に向けての構造最適化を目指す。 また、蛍光TAK779に関しては、その合成を達成することができたが、HEK/CCR5 細胞との相互作用を確認することはできなかった。原因を調査し、結果によっては蛍光プローブの再設計などを行い、問題の解決を図りたい。その後アッセイプロトコルの確立を目指す。
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