研究課題
本研究では、直線磁化プラズマにおいて粒子輸送と流れ場の同時観測からその因果関係を理解し、輸送の制御を目指している。実験は九州大学の直線プラズマ実験装置(PANTA)を用いて行い、1)粒子輸送と流れ場構造の同時計測可能なプローブを開発し、2)バイアス実験などで流れ場に摂動を与え、3)流れ場構造と粒子輸送の因果関係を明らかにする、という研究方法を展開する。本年度は研究の最終年度であり、昨年度までに導入したプローブ群を用いて磁場強度スキャン実験やバイアス実験などを進め、乱流が励起する流れ場構造の一種であるストリーマに関して、主に3つの成果をあげることに成功した。1つ目は、畳み込み抽出法という乱流の統計的性質を抽出する方法を開発し、ストリーマが「波の尖度が振幅の1/2乗に比例する」というソリトンとしての性質を持つことを明らかにした。非線形結合による流れ場構造の局在化を初めて見出した。2つ目は、ストリーマと粒子輸送の時空間構造を同時観測し、ストリーマの出現に伴う弾道的な粒子輸送を観測した。通常の乱流輸送に比べ10倍以上早い輸送であることや、大きな輸送量が発生する確率は冪則に従っていることなどを明らかにし、核融合研究において「ストリーマの出現により輸送が促進され閉じ込めが劣化する」ということを初めて実験的に示した。3つ目は、ストリーマと同時に、同じく流れ場構造の一種である帯状流が乱流を介して競合していることを明らかにした。これまでは、ストリーマと帯状流はそれぞれが乱流によって駆動され、互いに独立に観測されていたが、本観測で乱流・ストリーマ・帯状流の3者問題としての議論により流れ場形成の選択即の理解に繋がる成果が得られた。以上まとめると、研究目的である粒子輸送と流れ場構造の因果関係の解明に加え、流れ場構造の局在化やその形成の競合過程など、多くの成果をあげることができた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Physics of Plasmas
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
巻: 25 ページ: 062304~062304
https://doi.org/10.1063/1.5027124
Max Planck Institute for Plasma Physics, Max Planck Society
巻: IPP 2018-07 ページ: pp1-12
Plasma and Fusion Research
巻: 13 ページ: 3401105~3401105
https://doi.org/10.1585/pfr.13.3401105