研究課題
水蒸気爆発は国内外で数多く発生し、2014年の御嶽山の噴火のように、人命を奪う災害になるにも拘らず、その発生機構は未だにわかっていない。一般に、マグマ噴火に比べ規模が小さく、前駆的な物理・化学現象が微小なためである。浅部熱水系で発生した小規模な水蒸気爆発は、現状では予測が難しく、噴火を事前に予測できる観測項目が提唱されていない。そこで、2015年に小規模な水蒸気爆発が発生した箱根大涌谷の熱水系の構造を明らかにするため、3次元比抵抗構造調査を行なった。箱根大涌谷は、噴火に付随した地震や地盤変動などが観測されており、3次元比抵抗構造と比較することにより、水蒸気爆発に必要な構造を検出できる可能性が高い。箱根大涌谷を中心に4月と6月の二度にわけて、AMT観測点29点を設置し、電場と磁場を測定した。ノイズの大きな観測点もあったが、5Hz以上では比較的良好なデータを得ることができた。推定された大涌谷の比抵抗構造から、大涌谷を中心とした逆U字型の低比抵抗帯が広がっていることが明らかになった。これは、地下浅部に発達したキャップ構造だと解釈された。キャップ構造とは、透水性の低い熱水変質鉱物からなる低比抵抗の層(キャップロック)と、その下部で温度圧力が高められたガス溜りを指す。水蒸気爆発を繰り返し行なってきた立山地獄谷の比抵抗構造では、類似したキャップ構造の存在が明らかとなっており、水蒸気爆発発生のキーとなる構造だと示唆される。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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