研究課題
【目的】私は以前、老化による脂質吸収能の低下を示し、この現象を遅延する方法として、魚油を含む中脂肪食(中脂肪魚油食)が、老化による脂質吸収能低下を遅延し、さらに、老化による肝機能低下や肝臓総コレステロール蓄積も遅延することを示した。加えて、この中脂肪魚油食は老化による腸内細菌の変化に対しても有益な効果を持っていることを明らかとした。以上より、中脂肪魚油食は高齢者にとって有益な食事となり得る事が示された。しかし、魚油は非常に酸化されやすい油脂であり、長期摂取や多量摂取は体内の過酸化脂質量を増加させ、高齢者に悪影響を与える危険性を有していることが分かっている。そこで、本年度は魚油の酸化を防ぐ抗酸化剤であるビタミンEに着目し、中脂肪魚油食の老化による脂質吸収能低下遅延効果を、高齢者にとってより良好な形で解決するための検討を行った。【方法】老化促進モデルマウスSAMP8を、通常食で6ヶ月齢まで飼育する群と15ヶ月齢まで飼育する群を作成した。また、6ヶ月齢から15ヶ月齢まで中脂肪魚油食と中脂肪魚油食のビタミンEを強化した食事で飼育する群も作成した。各群既定の月齢に達した後、各種分析を行った。【結果】脂質吸収能の変化を調べたところ、老化により脂質吸収能が低下したが、ビタミンE強化の有無にかかわらず中脂肪魚油食の摂取でこれが遅延された。しかし、中脂肪魚油食の摂取では、肝臓や小腸の過酸化脂質量が増加していた。一方で、ビタミンE強化の中脂肪魚油食ではこの変化は抑えられていた。以上より、ビタミンE強化の中脂肪魚油食の摂取により、中脂肪魚油食の有益効果を維持しつつ、生体内の過酸化脂質量増加を抑えることができると示され、老化による脂質吸収能低下の遅延を、より良好な形で導けることが示された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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