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2016 年度 実績報告書

フラビウイルスの病原性発現機構におけるウイルス由来長鎖ncRNAの役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16J00854
研究機関北海道大学

研究代表者

武藤 芽未  北海道大学, (連合)獣医学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2016-04-22 – 2018-03-31
キーワード人獣共通感染症 / フラビウイルス / Non-coding RNA
研究実績の概要

フラビウイルスは、非翻訳領域から長鎖 ncRNA(lncRNA)を産生する事が既に知られておりlncRNA がウイルスの増殖性や病原性制御に影響を及ぼすことが指摘されている。しかし、ウイルス由来 lncRNA が関わる病原性の制御機構の詳細は明らかになっていない。先行研究より、TBEV lncRNA の特定領域に欠損や polyA の挿入がある場合、高い病原性を示すことが明らかとなっている。また、マウスを用いた実験によって、この lncRNA にみられる多様性は、宿主内に侵入したウイルスの増殖性や病原性の制御機構に関与している可能性が示唆されてきた。本年度は、培養細胞内においてウイルス由来 lncRNA がどのような役割を持つのかという点に着目し、研究を進めた。
ウイルス由来 lncRNA と宿主因子との相互作用を検証するため、高病原性株及び低病原性株の lncRNA を人工的に作出した。lncRNA 結合蛋白質を質量分析法により同定した。低病原性株由来 lncRNA にのみ結合する蛋白質として、CSDE1やFMRP等を同定した。これらの蛋白質と lncRNA の結合を検証するため、CSDE1 及び FMRP 過発現細胞を作出し、ウイルス由来 lncRNA と混合した。免疫沈降により過発現蛋白質がウイルス由来lncRNAと結合することを確認した。
ビオチン標識ウイルス由来 lncRNA の欠損体を作成し、CSDE1 及び FMRP 過発現細胞を用いて、各蛋白質との結合能を検証したところ、ゲノムの 10443 番目から 10649 番目の塩基が欠損している 高病原性株由来 lncRNAのみ宿主蛋白質と結合しないことが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初、予定していた通り、培養細胞内においてウイルス由来 lncRNA がどのような役割を持つのかという点の解析を行い、ウイルス由来lncRNAと相互作用する宿主分子を質量分析計により結合蛋白質が同定した。
さらに、同定された蛋白質とウイルス由来 lncRNA の結合領域を特定した。

今後の研究の推進方策

ウイルス由来lncRNA産生に関わるゲノム領域の同定を行う。具体的には、病原性に関わるlncRNA領域の推定として、ウイルス流行地において病原巣動物(野鼠/ダニ)及び患者からウイルスの分離を行い生物性状の解析を行う。また、塩基配列データベースから、lncRNA領域を既知のウイルス株の配列間で比較し病原性による分類を行う。病原巣動物や培養細胞にウイルスを接種し、継代によるlncRNA塩基配列の変化を解析する。
以上の解析により推定されたlncRNA産生に関わる領域を組換えたキメラウイルスをリバースジェネティクス法を用いて作製する。これらのウイルス株から産生されるlncRNA産生量の変化を定量的PCR及びノーザンブロットによって解析し、lncRNA産生に重要な領域の同定を行う。
ウイルス由来lncRNAが、生体の感染病態へ与える機能・役割について解析を行う。キメラウイルスを培養細胞に接種し、ウエスタンブロット、定量的PCR、ウイルス力価測定を行いlncRNA配列の変異によるウイルス増殖過程への影響を解析する。同様に、キメラウイルスをマウスに接種し臨床症状や臓器でのウイルス増殖性を解析する。
また同定されたlncRNAと相互作用する宿主分子を培養細胞内でRNAiやCRISPER-CASでノックダウン・アウトし、ウイルス増殖過程への影響を解析する事で、lncRNA-蛋白質複合体の機能を解析する。また、lncRNAの宿主免疫応答システムへの関与について培養細胞を用いてインターフェロン産生などへの影響を解析する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Identification of host proteins interacting with the 3’ UTR of tick-borne encephalitis virus.2016

    • 著者名/発表者名
      武藤 芽未
    • 学会等名
      The 64th Annual Meeting of the Japanese Society for Virology
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター 北海道札幌市
    • 年月日
      2016-10-23 – 2016-10-25
  • [学会発表] Identification of host proteins interacting with the 3’ UTR of tick-borne encephalitis virus.2016

    • 著者名/発表者名
      Memi Muto
    • 学会等名
      The 4th Sapporo Summer Seminar for One Health
    • 発表場所
      北海道大学 北海道札幌市
    • 年月日
      2016-09-20 – 2016-09-21
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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