本研究では街中で初対面の男性から話しかけられた女性がどのような判断を基に,話しかけてきた男性と会話する(あるいは会話しない)ことを決定しているのか(意思決定過程)について検討を行った。 研究の結果,以下の意思決定過程が示唆された。始めに,街中で初対面の男性から話しかけられた女性は社会的不確実性が高い状態において重要な内容(重要情報)についての判断を行う。このときに「リスクが極めて高い」と感じられた場合,女性は男性と会話しない。一方,「リスクが高い」あるいはリスクが曖昧に感じられた場合は,重要情報以外についての判断を行う。「リスクが高い」と感じられた場合には,重要情報以外についての判断において「メリットがある」と感じられれば男性と会話する。リスクが曖昧に感じられた場合には,重要情報以外についての判断において「コストがない」と感じられれば男性と会話する。以上をまとめると,街中で初対面の男性から話しかけられた女性は2段階の意思決定過程を経ており,2段階目の意思決定は1段階目の意思決定に応じて判断基準が異なることが示唆された。 このような意思決定過程は個人特性や状態によって変動することはないことも示唆された。他方,意思決定の内容(たとえば,リスクを感じる程度)については個人特性に影響されることが示唆された。 以上の結果を総合すると,社会的ネットワークを超えて始まる異性関係は一般的な社会的ネットワーク(たとえば,職場や学校)における異性関係とは異なるプロセスを経て始まることが示唆された。
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