研究課題/領域番号 |
16J01140
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
溝口 優樹 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | 集落動態 / 国造制 / 部民制 / ミヤケ制 / 菅原氏 |
研究実績の概要 |
当該年度は奈良・平安期における地方支配制度の形成過程および地域社会の歴史的展開に関する研究を中心に進めた。前年度に実施した凡河内国造に関する研究をはじめとして、これまでに蓄積されてきた個別研究を踏まえつつ、国造制・部民制・ミヤケ制といった倭王権の地方支配制度が実際の集落動態に及ぼした影響について考察したうえで、それがいかにして奈良時代へ展開していくのかを検討した。なお、この研究成果は2017年12月に実施された古代学研究会拡大例会シンポジウムにおいて口頭報告をおこなったうえ、『古代学研究』215号(2018年)において要旨を公表している。 また、8世紀末頃に土師氏が相次いで改姓をおこない、菅原・秋篠・大枝の各氏が成立した点をめぐり、従来は桓武天皇による外戚優遇策として一律に理解されがちであったのに対し、各氏に固有の成立事情を検討した。その結果として、①菅原氏は儒者として内五位に昇った土師古人が、その地位を子孫に継承するためにたてた氏、②秋篠氏は漢籍の知識等に長けた土師安人がみずからの官途を拓くためにたてた氏、③大枝氏は桓武天皇が外戚を顕彰する政策の一環として、高野新笠の名を後世に遺すためにたてた氏であることを明らかにした。この研究成果は日本史研究会古代史部会で口頭報告をおこなった後、学会誌に投稿をおこなっている。 さらに、9世紀代に土師氏以外の諸氏が菅原へと改姓する事例についても検討をおこなっている。この成果については、今後学会・研究会での口頭報告や論文として学会誌に投稿することを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、前年度を中心に進めてきた凡河内国造に関する研究について、2編の論文を成稿することができた。 また、8世紀末頃における土師氏の改姓や9世紀における菅原改姓の問題も並行して進めており、その一部は口頭報告をおこなっている。 以上の研究成果に鑑みると、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は平安期を中心に「富豪層」とされる人々そのものに焦点をあて、社会的結合のあり方について検討をおこなう。
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