研究課題/領域番号 |
16J01143
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡邉 真隆 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | Big-J / effective theory / strong coupling / conformal field theory / entanglement entropy / gravitational anomaly / supersymmetry |
研究実績の概要 |
(a) 量子情報とホログラフィー原理 (a-1) エンタングルメントとgravitational anomaly:この研究では,二次元の系にエンタングルメントが定義できる必要条件が,系のgravitational anomalyが消えることであると示した.これは,直感的には左右向きに進む粒子の自由度が等しいことを意味し,有名なNielsen-Ninomiyaの定理の二次元版の別証を与える.また,定理をdimensional reductionによって4, 6次元にも拡張した. (a-2) エンタングルメントの体積則の理解:この研究では,TPQ状態と呼ばれるランダム化された波動関数を使うことで,entanglement entropyの部分系の体積に関する関数(Page curve)の解析的な形が数個のパラメータを使えば決定できることを示した.特に,second Renyi entanglement entropyに関して,部分系の体積が半分の時に,volume lawからのずれが温度や系の詳細によらずlog 2であることを示した.数値計算も行い,結果を検証すると同時に,この公式によってMBL-ETH転移の決定の精度を向上させられると提案した. (b) Big-Jによる強結合理論の理解 前年度からの研究により,系の対称性に伴う電荷Jが大きなとき,物理量が1/Jで展開できることがあることがわかっていた(Big-J).本年度は,この研究を発展させ,SUSYかつvacuum moduliが存在するような系をBig-Jにより理解することを試みた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
arXivに投稿した論文は一本にとどまったが,ほぼ完成している研究が別に2つあり,おおよそ順調だったと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
本年度に論文にできなかった研究を完成させ,現在別に行っているBig-J関連の研究を進める.また,本年度の研究ではBig-Jの手法をエンタングルメントやホログラフィーに応用するに至らなかったので,今後の目標とする.
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