研究課題
本研究の目的は、ニホンウナギの回遊の意思決定プロセスを明らかにすることである。本年度は、(1)成長期にあたる黄ウナギから銀ウナギへ変態する際の成長特性、(2)昨年度に引き続き、標識再捕実験による、銀ウナギへの変態予測、について研究を行った。(1)2016年に島根県神西湖において採集した銀ウナギについて、耳石による成長履歴逆算法から個体毎に各年齢時の全長および年間成長量を求めた。ニホンウナギの降河回遊に及ぼす成長と全長の影響について、一般化線形混合モデルを用いて解析を行ったところ、個体毎の年間成長量は、加齢と共に減少し、また、降河回遊開始には成長が大きく寄与していることが示唆された。今後は生息場所の違いも考慮して解析を行う予定である。(2)昨年度と同様、秋季の降河回遊開始を個体レベルで事前に予測することができるかどうか明らかにするため、初夏に既に春機発動を開始した個体が秋季に降河回遊を開始し、未春機発動である個体が黄ウナギとして成育場に留まる可能性をバイオプシーによる生殖腺の観察と標識再捕法の組む合わせにより再検討した。2018年の初夏に島根県神西湖および流入河川においてニホンウナギの黄ウナギを採集し、外部形態を計測後、バイオプシーにより生殖腺の一部を摘出した。その後、PITタグによって個体識別して放流した。同年の秋季に放流個体の再捕獲を試みた。2018年の初夏に採集・放流した個体からバイオプシーにより摘出した生殖腺の観察を行ったところ、春機発動個体と未春機発動を確認することができた。しかし、秋季にこれら標識個体を再捕獲することはできなかった。天然のフィールドで標識再捕および生殖腺観察実験を行うことは困難であると考えた。そのため現在では、管理下に置かれた野外実験池において同様の実験を開始した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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