昨年度までの研究に引き続き,他の組合せ論的対象に付随するGorenstein (Fano)凸多面体の構成,及びその性質についての研究を行なった.まず有限単純グラフに付随する安定集合凸多面体と有限半順序集合に付随する順序凸多面体のCayley和を考え,これがGorensteinとなることの同値条件が与えた単純グラフが理想グラフになることを証明した.さらにこの時,このCayley和は正則単模三角形分割を持つことが従う.一方,並行して行ったCayley和とMinkowski和の正規性に関する結果を元に,上記の二つの多面体のMinkowski和がGorensteinとなることも同値となり,さらに正則単模三角形分割を持つことを示し,非常に興味深い結果を得た. 次に,単純グラフ及びB型ルート系に付随する新しい格子凸多面体を構成し,その性質について調べた.その結果,グレブナー基底などの代数的手法を用いて,その多面体がGorenstein Fano凸多面体となることが,付随するグラフが二部グラフとなることと同値であることを示した.特にその時,その凸多面体は正則単模三角形分割を持つことが従う.さらに,その凸多面体に付随するδ多項式がγ-positiveになることを示した.この結果は二部グラフに付随する内部多項式と呼ばれる不変量を用いて,そのδ多項式の公式を求めることで得られた.γ-positiveであることを示すことは一般的には非常に難しく,さらにγ多項式と呼ばれるものが,内部多項式といった組合せ論的多項式を用いて表せることは非常に興味深い現象である. この他にも,enriched P-paritionの多面体的解釈を与えたり,正気でない十分豊富なGorenstein Fano凸多面体の構成など,興味深い結果を多数得ることに成功した.
|